第56回情報リテラシー連続セミナー@東北大学を開催しました

2021年11月13日

 第56回情報リテラシー連続セミナー@東北大学は今回も新型コロナウイルス拡大の影響で、オンライン会議システムを用いた開催となりました。

 今回は、情報通信総合研究所 特別研究員の平井総一郎さんに「ポストGIGAの学びを求めて」というテーマでお話をいただきました。

 平井さんは、茨城県の公立小中学校教諭、総和町教育委員会、茨城県教育委員会、教頭、校長から古河市教育委員会を経て、現在は、情報通信総合研究所に所属し,教育ICTの推進に携わっていらっしゃいます。古河市教育委員会時代のお取組みとして、iPadを用いた教育ICTの推進、そして、全国初となるセルラーモデルのiPadとクラウドプラットホームの活用、教員育成のためのICTエバンジェリスト制度の構築等が有名です。現在は、全国の学校・教育委員会への助言を行いながら、文部科学省、総務省、経済産業省、デジタル庁にもかかわっていらっしゃいます。

 セミナーのはじめに、日本における教育ICTの推進体制の現状についてお話がありました。文部科学省では、2021年10月から情報教育・外国語教育課がなくなり、学校デジタル化プロジェクトチームが創設されています。教育の情報化は、文部科学省の1つの課だけでなく、初等中等教育局の全課をあげて教育の情報化に関する取り組みが行われているそうです。また、教育の情報化は,文部科学省だけでなく、総務省、経済産業省、デジタル庁のオールジャパンで取り組んでいる様子をご紹介いただきました。

 次に、GIGAスクール構想に代表されるように、現在、日本では国を挙げてICTを活用した教育の変革を強力に推進しています。なぜ「教育はなぜ変わらないといけないか」について、現在の社会変化を理由にあげてご説明いただきました.これからの社会は,①少子化による人口減少,②人生100年時代による高齢化,③生産年齢人口の減少に伴うグローバル化(日本における在留外国人の増加)によって大きく変化していく様子をグラフや数字を交えてご説明くださいました。そして、学び続けて,自分で自分をバージョンアップし、長く活き活き働けるようになっている必要があるというお話をされました。平井さんが、「マニュアル型の仕事はAI、ルーティン型の仕事はロボットにとってかわられる。これからは、社会と人間を接続するコミュニケーション能力が重要なってくる」とお話しくださったことは大変印象的でした。

 そして、コミュニケーション能力においては、コロナ禍で、これまでの対面でのコミュニケーション能力に加えて、オンラインでのコミュニケーション能力も備える必要がある点をご説明されました。オンラインでのコミュニケーションでは、コンピュータの知識も必要になってきます。これから必要になる力は、以前に比べて、変化してきているとのことでした。実際、社会では、企業の入社試験で自己PR動画の提出を求めるなどの動きがあることご紹介いただきました。動画を作るとなると、演出に関するクリエイティビティ、編集に関するスペシャリティに関する力が求められてくるといった具合に、社会の変化とそこで働くために必要となる力に変化が生じているとのことです。

 最後に、GIGAスクールの推進について、お話がありました。平井さんは、「まず使う,とにかく使う,いつでも使う,どこでも使う,自由に使う」という姿勢が大切だとおっしゃっていました(以下、内容)。
 まず使う:子どもにゆだねて、慣れが生まれて、活用が進む
 とにかく使う:機器に関連したトラブルが起こったら、指導のチャンスだととらえて、対応していく
 いつでも使う;ICTは汎用的なツールなので、教科を問わず活用する
 どこでも使う:授業以外でも活用していく
 自由に使う:チャレンジする度胸。失敗したらこだわらないで別のやり方を素早く模索する
ICT環境を活用して、先生ではなく、学習者にどんどんアウトプットしてもらい、学習者同士でフィードバックしあう姿勢を身に着けさせることが重要とのことでした。そして、ICTの利活用に迷っている学校や先生に対して、「つべこべ言わずにやってみろ」という激励をいただきました。

 今回の連続セミナーでは、前回同様、Zoomを用いたオンライン会議とブレークアウトルームの機能を使ったグループディスカッションが行われました。グループディスカッションを経た全体討議では、GIGAスクールの情報端末をどのように使えばいいか、また教員研修をどのように進めるべきかといった議論が行われ、大変盛り上がりました。

 平井さん、この度はお忙しい中、貴重なお話をいただき、ありがとうございました。

(博士課程3年 中川哲)

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