第57回情報リテラシー連続セミナー@東北大学は、新型コロナウイルスの影響により、前回に引き続き、オンライン会議システムZoomを活用しての開催となりました。今回は「困難さを生きる子どもたちを学びに誘い出すGIGAの可能性」と題して、認定NPO法人カタリバ代表理事の今村久美さんにご講演いただきました。
今村さんは、「すべての10代が意欲と創造性と育める、未来の当たり前を目指して」、認定NPO法人カタリバ(以下、カタリバ)を設立されました。カタリバでは、オンラインを活用した学びの場や居場所の提供、PCとWi-Fiの無料貸与といった様々な方法で、困難な状況にいる子供たちの支援をされています。
今回のセミナーでは、子供たちが抱える困難の中でも、特に不登校についての状況やカタリバでの取り組みについてお話しいただきました。
内閣府によると、全ての学校に平均して4.1人ほど不登校傾向の子供がいるとされています。今村さんは、不登校・不登校傾向になる要因は様々であり、個別の対応が必要であるものの、多くの自治体では支援の機会と家庭とをつなげることができていないのが現状だとお話しくださいました。
そこで、カタリバでは、オンラインを活用した不登校支援・合理的配慮の取り組みを行う「room-K」という事業を始められたそうです。「room-K」では、子供と相談をしながら「伴走」する様々な仕組みがあります。例えば、週に1回のオンライン面談では、子供の状況に応じて一緒にゲームをしたり、生活の支援をしたりといったことが行われているそうです。
それらの取り組みは、様々な自治体・学校と連携して行われています。
実際に、カタリバと連携して不登校支援に取り組んでいる、中野区立第二中学校校長の松田 芳明先生から支援の状況等についてお話いただきました。
「room-K」は、生徒の立場から見れば、様々な不安を聞いてもらえる居場所や学び直しを実現してくれる学びの場となり、保護者の立場から見れば。抱えている不安を聞いてもらえる居場所となっているそうです。
限られたリソースの中で支援が必要な子供たちに支援をしていくためには、学校教育が社会教育と手をつなぎながら、そして,オンラインとリアルを往還しながら取り組んでいく必要があると学びました。
今回の連続セミナーも前回同様に、Zoomを用いたオンライン会議での講演とZoomの1機能であるブレークアウトルームを駆使したディスカッションが行われました。以前の対面でのセミナーと同様に、今回も、参加者の皆様から沢山のご質問が集まり、活発な議論が行われました。
今村さん、松田先生、この度は大変お忙しい中、貴重なお話をしてくださり本当にありがとうございました。
(メディア教育論ゼミOG 安里基子)