第62回情報リテラシー連続セミナー@東北大学は、新型コロナウイルスの影響により、前回に引き続き、オンライン会議システムZoomを活用しての開催となりました。
「AI時代の社会,人材,学び」と題して、株式会社リクルート スタディサプリ教育AI研究所 所長 小宮山利恵子さんにご講演いただきました。
小宮山さんは,通信教材会社やゲーム会社でのキャリアを経て,現在,株式会社リクルートで運営しているスタディサプリの開発・運用に関わられています.教育×AIというテーマで書籍を発刊されているほか,オンラインTVやマスコミでも多く取り上げられています.
スタディサプリとは,小学生から社会人といった幅広いターゲットに向けて配信されるプロ講師による1万本以上もの講義を,個人の学習スタイルや習熟度に応じてウェブ上で受けられる,リーズナブルなサービスです.
本日は,時間や場所にとらわれずに個に応じた教育を受けられるサービスを作られている立場から,AI時代において教育現場に求められる示唆をいただきました.
スタディサプリでは,受講前に診断テストを行い,結果に応じて学習が必要な単元や問題が学習者に与えられます.このように,近年,情報技術が発展し,あらゆる分野においてAIが用いられ,教育現場においても少しずつAIの技術が用いられるようになってきました.海外では,これまで発展途上国とされてきた国々においてもあらゆるDXが起きていることをご紹介いただきました.このような情勢を踏まえて,小宮山さんは,「今後,学校とは何か,教師の役割とは何か…全てに再定義が必要になってくる」とおっしゃられ,教師の学習観や学び方にもアップデートが求められていることを示唆していただきました.
変化が激しい時代における学びについては,地図がない中で模索し,失敗しながら進んでいくことが大切であるといったお話もありました.これまで学校教育では,知識を教授する「知の深化」に重きが置かれてきましたが,これからは「知の探索」を並行して行っていく必要があるとのことでした.その際に教師に求められる役割は,子供それぞれの興味・関心を引き出すことや,子供の特性や探索の過程に応じた声掛けなどだとのことです.これらのことは,これまでも教師が大切にしてきたことであり,得意なことであるのではないかとお話いただきました.
今回の連続セミナーも前回同様に、Zoomを用いたオンライン会議での講演とZoomの1機能であるブレークアウトルームを駆使したディスカッションが行われました。また、以前の対面でのセミナーと同様に、今回も、参加者の皆様から沢山のご質問が集まりました。
ディスカッションや質疑応答では,企業に勤める方,ベテラン・若手教師が混ざって議論が進められ,小宮山さんにも多くの質疑がありました.教師にはあらゆる制約がある中ではあるが,前向きに学校外,国外にも目を向けて学習していきたいということや,あらためて教師ができることは何かなど活発な議論となりました.
小宮山様,この度はお忙しい中,貴重なお話をしていただき,ありがとうございました.
(メディア教育論ゼミOG・遠藤みなみ)