第67回情報リテラシー連続セミナー@東北大学を開催しました

 第67回情報リテラシー連続セミナー@東北大学、新型コロナウイルスの影響により、前回に引き続き、オンライン会議システムZoomを活用しての開催となりました。

 今回は「教室マルトリートメントを防ぐ」と題して、杉並区立済美養護学校の川上 康則先生にご講演いただきました。

 川上先生は、オンラインでも多く紹介されている「教室マルトリートメント」という書籍を出版されていらっしゃいます。公認心理師、臨床発達心理士、特別支援教育士SVなど数々の資格をお持ちで、日本授業UD学会の常任理事として活躍されていらっしゃいます。

 川上先生によると「教室マルトリートメント」とは教室で繰り広げられる不適切な関わりのことです。セミナーでは、川上先生は教室マルトリートメントを防ぐポイントを4点挙げていらっしゃいました。

 1点目は、子ども達と良いコミュニケーションをとることです。主体的な学習は子ども達が内側からやりたいと思える環境づくりをすることであり、そのためには、子ども達の話に大人が耳を傾けたり、権威勾配を緩めたりしてルールで縛るのを止めることなどの重要性についてお話しいただきました。

 2点目は学校が気持ちよく過ごせる場になるよう、笑顔と機嫌の良さを保つことです。関わりの糸口を見出すのが難しい子との関わりにおいては、二項対立で良い悪いを判断するのではなく、教師と子どもとが一緒に細かく段階を踏みながら、その成長を見届けること、というお話がありました。

 3点目は、子どもの理解の守備範囲を広げることです。大人の基準に当てはめて子どもの行動を判断するのではなく、その行動をとらざるを得ない状況を理解することで子どもの成長を喜ぶことができることや、子どもとの信頼関係を築くことが重要であるとのお話がありました。

 4点目は、社会の変化により子ども側も変化していることや、学校システム・環境の問題などに着目することです。特に教師と子ども達の間の権威勾配に関しては、それが生じやすい理由を、個人、環境、政策面に着目しながらお話しいただきました。

 今回の連続セミナーも前回同様に、Zoomを用いたオンライン会議での講演とZoomの1機能であるブレークアウトルームを駆使したディスカッションが行われました。また、以前の対面でのセミナーと同様に、今回も、参加者の皆様から沢山のご質問が集まりました。

 質疑応答では、川上先生に、参加された先生方から具体的な悩みや対応方法についての質疑が数多く寄せられました。年度初めのタイミングで行われた今回のセミナーでは、多くの先生方が今年度の指針を持つための良い機会となりました。

 川上先生、この度はお忙しい中、貴重なお話をしていただき、ありがとうございました。

 (メディア教育論ゼミOG・小田理代)

 

 

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