第59回情報リテラシー連続セミナー@東北大学を開催しました

 第59回情報リテラシー連続セミナー@東北大学は、新型コロナウイルスの影響により、前回に引き続き、オンライン会議システムZoomを活用しての開催となりました。

 「子供一人一人に力をつける一人1台端末の活用」と題して、東京学芸大学教授 高橋純先生にご講演いただきました。

 高橋先生は、初等中等教育におけるICT活用に関する代表的な研究者でいらっしゃいます。最近は、授業のデジタルトランスフォーメーション(DX)やICT活用に関する書籍を数多く執筆されています。GIGAスクール構想により、一人1台の情報端末を活用した授業が行えるようになりましたが、その際には大人と同じような使い方をしていけばいいのではないか、という主張をされています。

 今回のセミナーでは、一人1台端末の活用によって、子どもたちや授業がどのように変わっていくのか、実践事例を交えながらお話しいただきました。

 携帯電話の普及が、連絡の仕方を変えていったのと同様に、一人1台情報端末という新しい道具に合わせて、授業そのものもどんどん変わっていくだろうとのお話がありました。言い換えると、これまでの授業の枠組みを変えないままに一人1台情報端末を導入すると、本来起こりうるはずの大きな変化は生まれないとのことでした。また、 一人1台情報端末の活用によって一番最初に起こるのは子供の変化であり、子供の変化に応じて、教師の指導法も場面に応じて変化していくとお話いただきました。例えば、これまでの授業では一斉学習、個別学習、協働学習といった学習形態が単線的に進んでいくことが一般的でしたが、一人1台情報端末を活用した授業においては、一斉学習、個別学習、協働学習が同時に行われることもあります。このように、これまでの授業では当たり前であったような前提が、一人1台情報端末の導入により崩れていく可能性さえあるとのことでした。

  一人1台情報端末の活用が授業や学習に大きな変化をもたらすものであるからこそ、「生涯にわたって能動的に学び続ける力」といった子供につけたい力や、「一人一人の子供を主語にするといった」指導観といった大方針に照らし合わせながら、授業を本質的に見直し続けていくことの重要性をお話くださりました。

 また、現在、一人1台情報端末の活用が進められている地域は、先生方の創意工夫が認められて、勇気づけられている地域であるとのことでした。一人1台情報端末が導入されることによる変化は予測もできないものであるからこそ、トップダウンで活用法を考えていくのではなく、先進的な活用を行っている学校現場からボトムアップで広げていくことの必要性をお話しいただきました。

 今回の連続セミナーも前回同様に、Zoomを用いたオンライン会議での講演とZoomの1機能であるブレークアウトルームを駆使したディスカッションが行われました。参加者の皆様が実践されている一人1台情報端末の先進的な活用や、一人1台情報端末の活用に対する考え方等についてのお話を伺うことができました。また、以前の対面でのセミナーと同様に、今回も、参加者の皆様から沢山のご質問が集まり、活発な議論が行われました。

 高橋先生、この度は大変お忙しい中、貴重なお話をしてくださり本当にありがとうございました。

 (メディア教育論ゼミOG 安里基子)

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