ブックタイトルGSIS_2019
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GSIS_2019
II東北大学大学院情報科学研究科は、「新しい情報科学を創造し、豊かで調和のとれた社会の実現に貢献する」という理念のもと、1993 年に情報基礎科学、システム情報科学、人間社会情報科学の3 専攻体制で設立されました。2003 年には、現実社会の多様な諸問題解決のための学際的研究手法の発展を目的として、新たに応用情報科学専攻が新設され、裾野の広い新しい情報科学を標榜してまいりました。本研究科では、東北大学での情報通信分野の研究の輝かしい歴史と実績を背景に、自然科学、人文科学及び社会科学において基礎から応用まで多種多様な研究分野を擁しております。それぞれの個別分野で世界的な業績を上げており、国内外の3,369 名に修士の学位を、801 名に博士の学位を授与するなど、多くの有能な人材を社会に送り出してきました。「情報科学」は情報技術の開拓の担い手であることは言うまでもありませんが、今やほぼ全ての学問領域と関わりあっています。また、Web やスマートフォンなどの情報技術が身近な存在になり、経済や社会の仕組みのみならず、人間の生き方や心の在り方にまで影響を及ぼしていることも実感するところであります。したがって、現代社会の発展における我々情報科学研究科は、情報技術の進歩への貢献はもちろんのこと、人間主体の豊かな未来情報社会の実現を先導する学際的な情報科学の開拓を目指しています。また、グローバルな情報化時代におけるイノベーションや新規産業開拓、社会システム構築を行える人材育成を行っています。このような活動を支援するため、研究面においては2005 年より研究科重点研究プロジェクトを設定し、さらに研究センターや研究ユニットを構築して、研究科を挙げて取り組む体制を実施しております。研究科重点プロジェクトは大きな成果に発展しており、「安心安全社会構築のための横断型情報科学研究」では、大規模災害での被害軽減を目指して研究を行い、その成果は福島原発の調査に貢献したQuince ロボットの開発など、社会的課題に取り組む研究へと発展し、IMPACT プロジェクト「タフロボティクス」を経て、日本の防災ロボティクスをリードしています。「バイオインフォマティクス―大量生命情報の解析」は東北メディカルメガバンク機構における重要な要素として次世代情報化医療への情報技術の活用へと展開しています。「多様なセンサー情報と大規模シミュレーションを融合した道路交通流のナウキャストとフォアキャスト」では、震災ビッグデータ解析をはじめとして、ビッグデータ利活用の実践に関する先駆的取組となりました。「ビッグデータ応用を拓くカスタムスーパーコンピューティングのソフトウエア/ハードウエア基盤技術」では処理されるデータの特性に適応した計算基盤技術の開発が行われ、データ科学を支える計算基盤の方向性を示しました。現在、「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」および「量子アニーリングとデータサイエンスを活用した社会的インフラの構築」を研究科重点プロジェクトとして遂行し、ビッグデータ時代の数理と高機能計算の最先端をゆく研究を推進しております。これらの取り組みは、2019 年度に開設された学内組織「タフ・サイバーフィジカルAI 研究センター」(センター長:田所教授)へと結実し、そこでサイバーフィジカルな身体性を以て無限定な実世界に働きかけるロバストなAI に関する研究や人材育成を開始しました。教育活動における独自の取組としては、実践的情報教育推進室を設置して実施している産学連携教育があげられます。仙台地域のIT 企業の協力の下、情報系大学・高専などと連携してPBL(Project Based Learning) を含む実践的IT 教育を実施してきています。このような体制で行われる産学連携教育は「仙台スキーム」と呼ばれ、「分野・地域を越えた実践的情報教育協働ネットワーク事業(enPiT)(文科省)」へと受け継がれています。本研究科はその中で「ハードウェアセキュリティ分野」を担当し、国内の大学間連携による実践的情報人材育成を実施しています。現在、学部教育を対象としたenPiT2(本研究科が代表中核拠点)と共に技術者再教育を行うenPiT-Pro へと展開しています。また、2017 年度からデータ科学国際共同大学院を東北大学のスーパーグローバル大学院構想の一環として開始しました。ここでは、海外の大学とのジョイントスーパーバイズ教育を含むデータ科学の高度実践教育を行っています。これに加えて、データ科学に関する国費留学生特別プログラム、英語で受講できる国際コース、留学支援や博士後期学生の経済支援など、グローバル時代の高度専門人材育成のための様々な取組を実施しています。さらに、「情報リテラシ教育プログラム」を設置し、情報倫理・モラルが問われる時代における情報教育を行う教育的指導者の育成に、世界に先がけて取り組んでいます。今や、データ科学・AI は分野を問わず身に着けるべきリテラシとなりました。本研究科はデータ科学・AI の研究教育を主導する部局として、2019 年度より「データリテラシ共通教育基盤」の構築を開始し、全学教育におけるデータ科学・AI 教育を推進して行きます。このような取り組みを活用し、研究科の教員、学生を含む構成員が一体となり、情報科学の恩恵を享受できる豊かで安心な社会の実現を目指し、多様化した現代社会の問題に柔軟に対応できる「新しい情報科学」を世界に発信してく所存です。情報科学研究科長挨拶新しい情報科学の構築と展開東北大学大学院情報科学研究科研究科長 中尾 光之