日本人学生対象

経験者の声

Information

氏名 Name 高橋洸 Takeru Takahashi
学年 Grade 情報科学研究科修士2年 GSIS M2
指導教員 Supervisor 徳山豪 Takeshi Tokuyama
留学期間 Stay 平成24年8月31日-9月19日 Aug. 31st-Sep. 19th, 2012
受入先 Destination スイス連邦工科大学チューリッヒ校 ETH Zurich

事前準備

指導のお願い

留学先でお世話になる先生への指導の依頼です。 私は自分の研究室の先生ともご縁があったスイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH Zurich)のBernd Gaertner先生にメールでお願いしました。 初めにご連絡したのは6/4でした。このときおおまかな滞在予定をお伝えし、OKの返事を頂いたら細かい予定を立て、 8/23に確定した日程をお伝えしました。このご連絡は遅すぎたと思います。訪問の1ヶ月前にはお伝えしておくべきでした。

航空券

成田からチューリッヒまでの直通便はスイスインターナショナルエアラインズのものしかありません(2012年現在)。 私は比較的安価なフィンランド航空(フィンエアー、Finnair)のヘルシンキ経由の便にしました。予約は6/22に行いました。

航空券の価格は時期や曜日、便の時間帯によって大きく異なります。 私のときはフィンランド航空の他にタイ航空やアエロフロート・ロシア航空の便が同じ程度安かったです。 便の比較はスカイゲートなどの複数のウェブサービスを用いましたがサービスによって 提示される値段が違ったりするので注意が必要です。 私の場合はフィンランド航空の公式サイトで確認した値段が最も安かったためそこで予約しました。

なお帰国後に庶務に航空券の領収書を提出する必要があるのですがフィンランド航空では 航空券の領収書が発行するサービスを行なっていないようで、代わりにクレジットカードの仕様明細を提出しました。

チューリッヒーローザンヌ間の鉄道

交通費を庶務に申請するためにRail Europeで事前に予約しました。 Rail Europeでは切符が郵送されてくるのですが送料が非常に高かったため、 必要でなければ現地で購入したほうがいいでしょう。

宿泊施設

チューリッヒではFranz RuebさんのB&B(Bed & Breakfast)に、ローザンヌではLausanne Guesthouse & Backpackerに宿泊しました。 B&B とは民宿のようなもので、民家の空き部屋に有償で宿泊するというものです。 一般的なホテルに宿泊するよりもかなり安く抑えることが可能です。 スイスのB&BはBed and Breakfast Switzerlandというウェブサイトで調べることができます。 このサービスは研究室の先生から教えて頂きました。 尚Ruebさんのお宅の部屋が初めの3日間空いていないため私は近くの方のお宅をご紹介してもらい、 こちらにお世話になることになりました。 初めの3日間は朝食なしでしたが、あとの8日間は朝食付きで、1人部屋で1泊CHF45でした。シャワー、トイレは共同です。 チューリッヒで相部屋でないという条件を望めばどこのホテルでもこの倍はします。

Lausanne Guest Houseは、4人部屋で1泊CHF36.4です。1泊CHF80のシングルルームもあるのですが、 私の滞在期間は改修工事のため使うことが出来ませんでした。 清潔感はありましたが、やはり同じ部屋に見知らぬ人が寝ているということによるストレスは大きかったです。 個人用のロッカーがありますが、小さいのでスーツケースは入りません。他の宿泊者は部屋に置きっぱなしでした。 盗まれて困るものは部屋においておけないので荷物が多くなります。 シャワーがありますが、脱衣所がありません。これはユースホステルでよくあるようで、 シャワールームの壁に服を引っ掛けておいて(あるいはビニール袋に入れて)、中で着替えるのが正しいみたいです。 私も最初は使い方がわかりませんでしたが他の方の様子を見ながらこの方法を知りました。 尚各部屋はオートロック付きです。シャワーやトイレなどで部屋を出入りすることが多いですが 鍵を忘れないように注意が必要です。私は1度部屋に鍵を忘れてしまいましたがフロントにスペアキーを借り事なきを得ました。

学会

ローザンヌで行われたICANN(International Conference on Artificial Neural Networks)2012を聴講するため予約しました。

持ち物

パスポート

移動時はパスポートケースに入れて肌身離さず。首から提げるタイプが便利です。 失くしてしまったときのため、コピーも持ち歩くようにしました。 免税店で買い物をする時やお酒を買う時(結構な確率で年齢確認されました)もパスポートを見せる必要があります。

航空券のEチケット、搭乗券(Boarding Pass)

他の航空会社でもそうだと思いますが、フィンランド航空では事前に(出発時刻の36時間前以降) オンラインチェックインをすることで搭乗券がメールで送られてきます。 成田はフィンランド航空の自動チェックイン機が無くチェックインカウンターが混雑するので これをプリントアウトして持参したほうがいいでしょう。 帰りの便の分はiPhoneによるモバイルチェックインを使用しました。 モバイルチェックインはプリントアウトの必要はありませんが、 使用できる便が限られている点とデータ通信できる環境が出発の36時間前に 用意できなければいけない点がネックです。

クレジットカード

多くの欧米の国はカード社会となっているようです(お釣りが面倒なため額の大きな紙幣は断られることもありました)。 また手数料が日本円を現地のお金に換金した場合の手数料よりも安く上がることもあり 基本的に現金はあまり持ち歩かないようにしました。 カード会社によって使えないことがあるということで私はMastercard(ライフカード)と VISA(楽天カード)の2種類を持っていきました。実際、どちらかが使えないこともありました。 紛失時に備え、カード番号や有効期限はメモをとっておきました。

現金

持参したのは現地のお金(スイスフラン)と日本円を合計5万円程でした。 換金所での換金は行わず、現金はクレジットカードのキャッシング機能で工面していました。 ライフカードの学生専用カードでは10万円/月までキャッシング可能です。 長期の滞在ではなかったので日本で専用の銀行口座を開設することはしませんでした。 多くの買い物はカードで済みましたが、メトロや有料トイレは小銭がないと利用できないことがあるため、やはりある程度現金は必要です。 また飲み物などの自販機は紙幣が使えるものは見かけませんでした。

キャリーケース

値段、軽さ、容量を考慮してA.L.I.のMM-5510(78L、3.9kg)を購入しました。 若干小ささを感じることはありましたがおよそちょうど良かったと思います。 ローラーの摩擦が小さく快適でした。 ベルトはしませんでしたが、目印として付けておいたほうがいいと思います。

バックパック

deuterのバックパックを使用しました。 現地でもdeuterを使っている人が多く、なんとなく溶け込んでいる感を味わえました。 治安の悪い国ではスリ防止のためバックパックを前にかけることがありますが、 私がスイスで見かけた限り荷物が多い理由以外で前にかけている人はいませんでした。

iPhone

搭乗券として使えたりしました。 GPS機能もあるためリアルタイムのデータ通信を必要としない地図アプリ(Open Maps Pro)を 事前にダウンロードしておき使用を試みましたが、あまり勝手が良くなく ほとんど出番はありませんでした。類似のアプリでもっと便利なものがあると思います。 宿泊施設や空港で無料の公衆無線LANが利用できることが多いですが、パスワードがSMSで 送信される形式の場合もあり(ジュネーヴ国際空港がそうでした)色々試したのですが結局受信できませんでした。 ウェブページで「無料の公衆無線LANあり」と書かれていても環境に依存することがあるようです。 なお成田国際空港、ヘルシンキ・ヴァンター国際空港ではブラウザからログインして利用できました。 チューリッヒ空港は無線LANは有料となっています。

ノートPC

研究の際に用いました。 iPhoneのときと同様に無料の公衆無線LANやゲストIDを使って大学の無線LANにアクセスしていました。

変換プラグ兼変圧器

スイスではC型のプラグが一般的です。電圧は230Vです。 私は変圧器を持って行きましたが、PCやiPhoneの充電くらいにしか使わなかったので 変換プラグで十分でした。

3週間弱の滞在でしたが、服は1週間分程度持っていき宿で洗濯してやりくりしました。 日が出ている時とそうでない時で気温が大きく異なるので上着も持ち歩きました。 あと日本と暑さの質が違います。9月の中旬で最高気温が25℃程度でしたが結構日焼けしました。

移動時など暇な時間が多いので何冊か持って行きました。

お菓子、栄養調整食品

栄養調整食品は朝食として食べていました。基本的にお店が少なく、 また休日は街の中心部でもスーパーが営業していないことがあるため緊急時の食料を持参しておいてよかったです。 また煎餅などの日本のお菓子は精神的に有難かったです。

ガイドブック

観光時や交通機関の使い方などにおいて参考にしました。 かさばるので出来るだけ余計な情報が載っていないものを選ぶほうがいいと思います。

時系列に沿って

仙台発~チューリッヒ着(8/30~8/31)

8/31の成田発の便が早朝だったため、空港近くのホテルに前日入りしました。 ホテルから空港まではホテルから出ているバスで向かいました。 出発予定時刻の1時間半ほど前に空港に到着していたと思います。

チェックインはオンラインで行なっていたのでスーツケースを預け、手荷物検査などを受け搭乗します。 大きな荷物は経由地で下ろすかどうか選択できました。私はチューリッヒまで送ってもらいました。

10時間のフライトの後、ヘルシンキに到着。入国審査では滞在の目的および期間を細かく尋ねられました(1つ前の日本人の方が結構手間取ってました)。 この時点では時差ボケは特に感じませんでした。 次のフライトまで3時間程の時間がありましたがヘルシンキ・ヴァンター国際空港では無料でコンセントと無線LANが提供されており空き時間もそれほど退屈しませんでした。 空港内の案内もわかりやすく迷うこともあまり無いと思います。 チューリッヒ行の便に乗り換え2時間のフライトの後、チューリッヒに到着しました。 ここでは入国審査はありませんでした。

チューリッヒ空港は中心部に近く、チューリッヒ空港駅(Bahnhof Zurich Flughafen)チューリッヒ中央駅(Zurich Hauptbahnhof, Zurich HB)まで電車で3駅(10~15分)です。 改札が無いので切符をどこで買うのか迷いましたが、地下のホームへ向かうエスカレータ付近に自動券売機(クレジットカード使用可)がありここで購入しました。

チューリッヒ中央駅に着いたあとは先にスイス入りしていた同研究室の太田と合流しました。 Ruebさん宅に向かうためトラムに乗ろうとしたのですが、券売機でクレジットカードが使えないことが発覚(差込口はあったのですがどのカードを使ってもエラーが発生)。 また紙幣も使用できないため近くのCOOPで買い物をして小銭を入手し、ようやくトラムに乗車。 飛行機が遅れたこともあり宿に到着したのは予定の時間から1時間程遅れた頃となり、 家主のRuebさんに大変ご迷惑をかけてしまいました。 私はRuebさんにご紹介していただいた方のお宅に案内され、ご挨拶を済ませシャワーを浴び早々に就寝。 この時点で31日に日本で起床してから24時間程経過していましたが、外はようやく暗くなり初めるかという状態。 時差ボケのためか強い頭痛を感じていました。

仙台発~チューリッヒ着(8/30~8/31)

チューリッヒ滞在(9/1~9/10)

1日(土)に起床するとまだ頭痛がありましたが、しばらく休むとだいぶ回復しました。 午後は観光のため世界遺産の修道院があるザンクトガレン(St. Gallen)に向かい観光しました。 ザンクトガレンまではSBBで2時間程です。チューリッヒからは比較的行きやすいスポットだと思います。

2日(日)にはRuebさん宅の部屋が空くため2泊分の宿泊料を支払う予定だったのですが、 家主の方が遠出のため家を空けておりお金はテーブルに置いておいてくれとの書き置きが。 スイスの方が大らかなのか日本人が信頼されてるのかわかりませんがこれは衝撃的でした。 あとはこの日は家賃を置きRuebさん宅のに移動し、疲労と翌日からの準備もあり宿で休みました。 食事は近くのMigrosで購入しようとしたのですが休日のため営業しておらず、 チューリッヒ中央駅に出向き駅内のスーパーで買いました。

3日はいよいよETH Zurichに向かいます。先にGaertner先生に会っていた太田に案内されながら先生の居室を訪問しました。 ETHでは日本の大学で言う研究室という単位が無く、Ph.D.以上の学生に1人1部屋が与えられるという形になっています。 先生の部屋を訪ね自己紹介をし、同じ研究グループに属するEmo Welzl先生と福田公明先生を紹介して頂きました。 引き続き、現在先生が取り組んでいらっしゃった研究テーマについての説明を受けました。 もちろんすぐには理解できませんでしたが、Klee-Minty Cubeと呼ばれるd次元の多面体を2次元平面に写像したときに全ての頂点が 現れるような写像が存在するか、という命題を証明するというものでした。

チューリッヒ滞在(9/1~9/10)

私と太田は個室が与えられ、ここで研究に取り組むことになりました。私は10日(月)までの滞在です。 d=3のときは先生が既に証明されていたのでまずはd=4のときを検証することにしました。 初めの内はなかなか命題が真となる条件が見つけられず、偽なのではないかと疑いを持ち始めましたが、 粘り強く色々な仮説を立て計算を繰り返していくと問題の性質が見えてきて、4日にはd=4のときの証明が完了し、 また一般のdに対しても予想を立てることができました。 あとはこれを帰納法などで証明したいのですが関数の形が複雑で単純に適用することができず、 5日は特に進捗もなく過ぎてしまいました。

Gaertner先生は7日から出張とのことで、6日は私達が日本で行なっている研究に関して簡単な議論を行いました。 私のテーマは理論よりは応用に近いものでしたが、先生から頂いた理論面からのご意見は 私の修士論文のアイディアにも大いに活かされることとなりました。 様々な観点から研究に取り組むことの大事さを強く感じています。 7日は命題の証明に引き続き取り組みましたが、やはり大きな進捗はありませんでした。

8日(土)はチューリッヒ市内観光に向かいました。 中心部の主な観光スポットとしてはいくつかの大きな教会や公園、チューリッヒ湖などがあります。 この日は非常に天気が良く、日中は湖で泳いでいる人も多く見かけられる程でした。 町並みが本当に美しく、どこの景色も画になるのが非常に印象的でした。

チューリッヒ滞在(9/1~9/10)

10日(月)は、同研究室の南雲と合流しました。 またKnabenshiessenという祭(少年射撃祭?)のため大学は午前で終わり。 お昼は福田先生に近くのレストランでご馳走して頂きました。 思えばスイス料理をレストランで食したのはこれが最初で最後でしたね。 午後は前々から気になっていた大学経由トラムの終点「ZOO」へ太田、南雲と3人で向かいました。 実際そこには動物園があったんですがチューリッヒに動物園があるとは知らず驚いてしまいました。 日本では考えられないほど動物との距離が近く、思いつきで行った割りには楽しめました。

残りの研究は太田に託し、11日にはローザンヌへ。SBBの特急で2時間半ほどで到着。

ローザンヌ滞在(9/10~9/17)

まだ宿にチェックイン出来る時間では無かったので一旦駅のロッカー(1回8CHF!) に大きい荷物を預け街をぶらつくことに。 ローザンヌは高低差が激しいために移動の際はメトロやバスを使います。 この日はアール・ブリュット・コレクション(Collection de l'art brut)という美術館に行きました。 ここは精神病患者や犯罪者による芸術作品を展示している一風変わった美術館です。 ここでしか見られない衝撃的なまでの作品群は一見の価値があります。 ひと通り見終わったら宿に向かいチェックインを済ませました。 宿に関することは事前準備の項に詳細を記してあります。

11日~14日はローザンヌ大学(University of Lausanne, UNIL)で行われるICANNを聴講しました。 ローザンヌ大学へは、まずSBBのローザンヌ駅の最寄りの地下鉄駅であるLausanne-Gareからm2に乗りLausanne-Flonへ。 そしてm1に乗り換えUNIL-Dorigny(またはUNIL-Sorge)で降りれば到着です。 学会はニューラルネットワークとその周辺という比較的狭い分野に関するもので、予備知識もあったため 多くの発表を興味深く聴講することができました。 特に機械学習のためのデータサンプリングに関する研究は自分の現在の研究に通づるところがあり、 大変参考になりました。 とは言え、各国の訛りも強い英語の聞き取りにはかなりの集中力を要しましたが……。 ローザンヌ大学はレマン湖に近く、また敷地も広大で自然に囲まれており非常に美しい景観をもっています。 湖のほとりでは日光浴をする人も多く見られました。

ローザンヌ滞在(9/10~9/17)

ローザンヌ発~成田着(9/17~9/19)

17日はローザンヌを発ちジュネーブを少しだけ観光。 アルプ通りのSwiss Cornerというお土産屋さんでは私が訪ねたときたまたま店員の方が日本人でしたので、 日本語を話したくて堪らなくなったら行ってみるといいかもしれません。 ジュネーヴ・コアントラン国際空港はジュネーヴ・コルナヴァン駅から7分程で到着。 チェックインは済ませていたので荷物を預け手荷物検査を受けます。 どういう訳か出国審査はありませんでした。

ヘルシンキ・ヴァンター空港に到着したのは深夜だったので空港内で夜を明かすことに。 ソファーもありましたが他の人で埋まっていたのでベンチで服を枕にして一眠りしました。 夕方のフライトまで時間があったので、日が出てきたらバスでヘルシンキ中心部まで向かいました。 バスは何種類かありますが私は615番の路線バスを用いました。料金は4ユーロで所要時間は35分前後です。 料金は運転手さんに直接渡しました。自動券売機もあったのですが反応しませんでした(故障中?)。 ヘルシンキはスイスで感じた華やかさはありませんでしたが、独特の空気感があり、いずれじっくり時間をかけて 観光してみたいと思っています。

ヘルシンキからの出国の際は指紋と顔認証による自動審査ができスムーズでした。 スタンプは窓口の方にお願いして貰います(必ずしも必要ではないようですが)。 再び10時間のフライトの後、成田に到着。 日本に着いたら上野で銭湯に入り、不忍池でオニギリとお茶を頂きました。

飛行機での移動について

空路スケジュール

日付 時間 空港 備考
8/31(金) 9:25 成田国際空港 発
13:45 ヘルシンキ・ヴァンター国際空港 着
16:30 同空港 発
18:15 チューリッヒ空港 着 気候のため30分程の遅れ
9/17(月) 19:00 ジュネーブ・コアントラン国際空港 発
22:55 ヘルシンキ・ヴァンター国際空港 着
9/18(火) 16:00 同空港 発
9/19(火) 7:40 成田国際空港 着

航空機に関する料金

内容 金額(日本円)
航空運賃 686,00
燃油サーチャージ(YR) 49,000
成田施設使用料(SW) 2,040
税金(XT) 4,360
合計 124,000

乗り心地、機内サービスなど

フィンランド航空の飛行機の座席は他の航空会社のものと比べるとやや狭いようですが、 私はそれほど苦しみませんでした。 枕と毛布は予め席に置かれています。枕は首に固定するタイプではなく、また薄かったためイマイチでした。 私は持参した空気枕を使いました。

機内食はそんなに変なものは出ませんでした。ドリンクサービスでは各種ジュースやお酒を頼めます。 また成田~ヘルシンキ間の便では映画などが鑑賞可能です。備え付けのイヤフォンを使用しますが、 激しく音漏れしている人がいたので音量には注意が必要です。 成田行の便では関税に関する申告書を書く必要があるのでペンを携帯します。

尚こんなエラーが起こることもあります。

乗り心地、機内サービスなど

その他

食事情

スイスといえば物価が高いことで知られていますが、スーパーマーケット(Migros、COOP)で売られている食品類は日本よりも割安のものの方が多いくらいです。 私はほぼすべての食事をスーパーで購入したサンドウィッチ(CHF3~5 = 250~400円(当時))で済ませました。 この値段だけでは高いようにも見えますが、具材が溢れんばかりに詰められておりお得感があります。 このサンドウィッチは今でも時折食べたくなります。

飲み物も500mlのペットボトル入りのものでCHF1未満で手に入ります。 ただし水とアルコール類以外はすべて甘味料が入っていてちょっと参りました。 また街中には湧き水が至る所にあり、注意書きが無い限り飲用可能です。 道行く人が空のペットボトルに水を詰める光景もよく見られました。 各種施設内の水道水も基本的に飲むことができます。 ちなみに中華料理店よりも日本料理店の方が圧倒的に多いほど日本食が流行っているようで 日本が恋しくなっても大丈夫です(高いですが)。 スーパーでもお寿司が並んでいたりします。

食事情

移動手段

都市間の移動はスイス連邦鉄道(独語、仏語、伊語でそれぞれSBB、CFF、FFS)の鉄道を用います。 鉄道の席は1等と2等の2種類があります。日本のように鉄道が定刻通りに動くことは海外では珍しいとよく言われますが、 スイスの鉄道もおよそ時間ぴったりに動いていました。 乗車券が非常に高額ですが割引パスが数種類提供されているので必要に応じて購入するといいと思います。 私は1ヶ月間長距離鉄道の乗車券が半額(短距離の場合は3割引くらい)になる半額カード(Swiss Half Fare Card)をCHF99で購入しました。 スイスパス(Swiss Pass)は乗車券だけでなく各種施設の利用も無料になるパスですが、2等・1ヶ月・ユースでCHF419です。 利用期間によって金額も変わりますが、元を取るのはかなり大変だと思います。

移動手段

チューリッヒ市内ではチューリッヒ交通連合(ZVV)の路面電車(トラム)を使用しました。 メトロの自動券売機では何故かクレジットカードが2種類とも使えず、 小銭で購入していました(紙幣は使えません)。 メトロでは切符を確認するシステムはありませんが、稀に一斉検査が行われるそうなので無賃乗車は危険です。

ローザンヌではローザンヌ地下鉄(Metro de Lausanne)とローザンヌ地域公共交通(Transports Publics de la region Lausanne, TL)のバスを使用しました。 ローザンヌ地下鉄は東西を走るm1と南北を走るm2の2本があります。 多くのホテルでは宿泊者用の地下鉄無料パスが配布されており、自由に使用することができます。 バスは停留所に券売機があり乗車前に購入します。

タクシーもありますがかなり高いです。

言語

スイスの公用語はドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4種類があります。 私が滞在したチューリッヒとローザンヌはそれぞれドイツ語圏、フランス語圏に属する都市で看板などの表示も異なっていました。 各言語圏での文字の発音の仕方くらいは簡単に勉強しておいたほうがいいかと思います。 英語は公用語ではありませんが拙い発音でも大体通じます。現地の方々の発音は訛りも混じっていましたがそんなに聞き取りづらい発音ではなかったと思います。 ローザンヌでお酒を買ったときに店員が英語を話せないようでフランス語で色々話しかけられたことが1度ありましたが、このときは年齢確認の件だとわかったので言語に関してどうしようもないほど困ったということはありませんでした。

治安

良いです。 女性が1人で歩いているのもよく見ました。 私が1度トラムの券売機でお釣りを取り忘れたとき後ろの方が声をかけてくれたこともありました。 そもそも低所得の人が生活する事自体大変なため、そういった犯罪に手を染める人が少ないのだろうと思います。 ただしフランスに接するジュネーヴなどは移民が多く物乞いも多く見かけられました。 地区によっては日中から売春婦がうろついているようなこともあるらしいので注意は必要です。 またチューリッヒでもゴミが路傍に捨てられていたりして街中は意外と汚いです。歩きタバコをしている人も沢山いました。

所感

今回の滞在で最も強く感じたのは「1人でも意外となんとかなる」ということです。 もともと英語にそれほど自信がある訳ではありませんでしたが、相手の話していることが1度で聞き取れなくても 繰り返し尋ねれば丁寧に教えてもらえます(英語圏ではないということもあると思いますが)。 逆に、ただ困っているだけでは何もしてもらえません。 海外では空気を読むという文化が薄いと言います(一般化出来るほど多くの地を回ったわけではありませんが)。 拙い英語でもしっかりと意思表示することが大事です。

研究に関しては、最終的にはGaertner先生と太田が力を併せ一般的な証明を与えることに成功しました。 研究の成果は太田が電子情報通信学会のコンピュテーション研究会にて発表しています。 僅かながらではありましたがこの成果に協力できて良かったです。 今回この短期間で成果を収めることができたのはGaertner先生が学生のご指導に非常に熱心な方で いらっしゃったためであると思います。

さて海外の文化に触れるということは、同時に日本の文化を客観視するチャンスです。 日本で伝統的に行われていることが改善の余地があるのでないかということであったり、 あるいは無意識に行なっていることが実は素晴らしいことなのではないかということを考えることは日本にいてはなかなか出来ません。 日本が国際化の波に乗り遅れていることは以前から飽きるほど叫ばれています。 月並みな意見ではありますが、日本が諸外国に対してどういった国なのか、 こうした機会を積極的に利用し個人が客観的な認識をもつ必要があると私は思います。

今回スイスの中でもドイツ語圏であるチューリッヒとフランス語圏であるローザンヌに滞在しました。 この2つの都市ではやはり空気感が少し違います。ローザンヌはチューリッヒに比べより自由で明るい感じがしました。 このように一度の滞在で異なる文化をじっくり体験することも学生の間でなければ難しいことです。 本プログラムを利用できて本当に良かったと思います。 紹介して頂いた森山先生、またご助力頂いた徳山先生、塩浦先生、全先生、 ETH Zurichでお世話になったGaertner先生、福田先生にはこの場をお借りしてお礼申し上げます。

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