情報基礎数理学 III
情報基礎科学専攻
情報基礎数理学 III A03 Mathematical Structures III
研究キーワード代数的グラフ理論、代数的組合せ論、離散数学
代数的グラフ理論とその関連分野の研究
有限グラフにはいくつかの方法で実対称行列を対応させることができ、これらの行列の性質、特に固有値や固有ベクトルの観点からグラフの構造を調べる分野である、代数的グラフ理論の研究を行っています。距離正則グラフやassociation schemes 等、正則性の特に高いグラフを中心的に取り扱います。代数的グラフ理論と密接に関わっているテーマとして、グラフ上のランダムウォークや、その量子力学版である量子ウォークがあります。特に後者は21 世紀に入って爆発的に発展している分野で、本研究室でも近年精力的に研究しています。さらに、グラフに付随する行列を確率変数とみなすことにより、量子確率論(非可換確率論)との関連も生じます。この立場から、グラフの族に対して(量子)中心極限定理等の類似物を考えることも興味深いテーマです。一方、符号やデザイン等を含む種々の離散的対象は、適当なグラフ(association schemes)の頂点集合の部分集合とみなすことができ、この観点からこれらの対象の研究も行っています。符号の場合であれば、例えば「長さn かつ最小距離がd 以上の2 元符号の最大サイズ」を考えます。このような研究の潮流は1973 年のDelsarte の学位論文に端を発するもので、代数的グラフ理論に加えて線形計画法や半正定値計画法等の最適化の手法を駆使します。
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Paley グラフ Paley(q) とその補グラフの冪の正規化した同時スペクトル分布