第92回情報科学談話会のお知らせ(2024年8月30日開催) 大島 逸平 助教「微粒化現象の数理モデルと同期現象の数理モデル」・杉山友規 特任准教授「化学反応により駆動される細胞成長の熱力学 ~情報処理機関としての生命の実現に向けて~」

 
日時 2024年8月30日(金) 13:30~15:30
場所 情報科学研究科棟2F大講義室
※対面とGoogle Meetによるハイブリッド開催
話題提供者 大島 逸平 助教
杉山友規 特任准教授
提供者所属 大島 逸平 助教:システム情報科学専攻 融合流体情報学講座 融合流体情報学
杉山友規 特任准教授:情報基礎科学専攻 情報応用数理学講座 数理情報学
話題 大島 逸平 助教:「微粒化現象の数理モデルと同期現象の数理モデル」
杉山友規 特任准教授:「化学反応により駆動される細胞成長の熱力学 ~情報処理機関としての生命の実現に向けて~」
概要 概要:航空機エンジンで採用されている燃料噴射弁から噴射される液膜は、気流によって変形し、最終的に液滴へと微粒化する。この液膜の振動特性や噴霧特性を予測する技術は、産業応用において非常に重要である。しかし、微粒化はマルチスケールかつマルチフィジクスな現象であり、その予測技術の確立は容易ではない。本談話会では、この複雑な微粒化現象をいかに解明し、汎用的な予測モデルを開発するかについて議論する。
 また、周期的な振動を示す現象が、外部からの周期的な力により「ロックイン」する(元々の振動周波数が外力の周波数と一致する)ことが知られている。この現象を解明するためのアプローチとして、位相縮約法の適用が考えられる。微粒化研究にこの技術を適用する前段階として、回転水槽内の熱対流に見られる同期現象を研究している。本談話会の副題として、回転水槽における熱対流同期現象の数理的アプローチについても紹介する。
( 大島 逸平 助教)


概要:生命体そのものを情報処理機関として捉え、生命現象は最適化問題の解として実現しているという思想は、近年の生命情報分野の一つの潮流である。この思想の背後には進化論があり、現在までを生き抜いている生命体は何かしらの意味で最適になっているだろうという考え方に支えられている。そしてこのタイプの研究は、最適化問題を解いている「数理的アルゴリズム」を、実際の細胞が持つ化学反応ネットワーク(CRN)により「物理的に実装する」必要があるため難しい。特に、情報処理演算を化学反応に依存するということは、そこに大きなエネルギー的散逸が存在し、これを評価する必要がある点で通常の最適化問題と異なってくる。本講演では、細胞成長を例にCRN上の熱力学を概観し、成長に伴う熱散逸や化学仕事の評価方法を紹介する。
(杉山友規 特任准教授)

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