東北大学大学院 情報科学研究科

東北大学大学院情報科学研究科シンポジウム
「情報科学」から「行動の因果」を考える Q&A

講演3生物行動のシステム科学 に関するQ&A

回答:橋本浩一 教授(システム情報科学専攻 知能ロボティクス学)

  • 生物での実験成果がIoTなど情報分野に生かされる例はありますか。(20代男性)
  • 動物の移動原理がわかれば、IoTによって物流を最適化・タクシー配車最適化などに使えると考えています。
  • コオロギに装着する機器はどのようなものでしょうか(40代男性)
  • コオロギの尾にある尾葉の風応答を高速ビデオで撮って解析しようとしています。コオロギは屋外での計測を予定していないので搭載型センサはつくる予定がありません。
  • センサーが必要とするバッテリがたいへん大事と思いますが、なにかとくべつなぎじゅつはありますか。(60代男性、20代男性)
  • 無線給電、NFC給電、動物の力を利用する発電、風を利用する発電などに取り組んでいます。
  • 動物は本当に自由に移動しているのか?(10代男性)
  • 動物の移動は何かの目的関数を最適化したことによって生じると仮定しています。
    拘束しない動物を観察するという意味で、「自由に動く動物を観察して」という表現を使いました。
  • オプトジェネティクスのカメラは人間に対しても使えるのか(30代男性)
  • いいえ。蛍光タンパク質・光受容タンパク質を遺伝子組み換えで発現させて使いますので、人間に応用するのはだいぶ先になるでしょう。
  • 生物兵器に応用される恐れはないか?(50代男性)
  • 技術的に可能になると思います。あとは倫理的な問題。
  • 線虫はどのくらいの行動まで制御できるのですか??
  • ドーパミンニューロンでは前進・後退の頻度が変わる、という程度です。
    東大グループでは、NaClセンサに対するオプトジェネティクスで光をあてると左に曲がる線虫、というのをつくりました。私たちの装置が使われています。
  • 自動車の渋滞は解決できますか。圧倒的に効率の悪い交差点の問題は解決できますか?
  • 交通ネットワークの設計に利用できると考えています。開発により一時的に混雑している状況なら警察にいいましょう。
  • ショウジョウバエの動きを追う解析は、2匹が近くに行ったとき等に互いの動きが入れ替わったりしないのですか?
  • そのための工夫が入っています。ハネと頭の方向とを検出し、動きを予測して追跡します。
  • ヒトの移動情報から個人特定はできますか?
  • 私の研究範囲ではありませんが、そのような取り組みは多くの研究室で行われ、実際に監視カメラなどに用いられています。
  • 行動の蓄積が得られれば、方向音痴などに対応するデバイスの開発なども行うのでしょうか?(20代男性)
  • 認知症の患者用対策デバイスは開発する予定です。
  • 青葉山のクマのナビゲーションをやってください。
  • クマの行動調査をしたいのですが、なかなか難しい動物のひとつです。
  • 最適問題の凸性は示されているのでしょうか。(30代男性)
  • まだわかっていません。凸でなくても、準最適なものを瞬時に選んでいると考えています。