講演内容
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講演
現代社会において、一人一人に合わせたきめ細かな教育を実現するためには、教育データを収集し、利活用していくことが欠かせないものとなっている。本講演では、その一例として、デジタル教材やeラーニングのログデータを解析して、学習者や理解度やつまずき個所を見える化し、それを授業改善や学習支援に活用する事例を紹介する。また、教育データの国全体での利活用のための情報基盤システムであるLEAF(Learning Evidence and Analytics Framework)を紹介し、国内外での利用の状況と今後の展開について述べる。
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講演
東北大学大学院情報科学研究科では、2020年12月にラーニングアナリティクス研究センター(LARC※)を立ち上げた。LARCでは、情報科学の応用分野として教育データを捉え、教育データの取得手法、解析手法、教育的意味づけ等について研究開発を重ねてきた。本講演では、LARCで行われた主たる研究について、茨城県つくば市との共同研究による学校現場でのデジタル教科書の学習ログから見出せた知見や、京都大学および株式会社内田洋行との共同研究による教育データのフィードバックによる授業手法の改善等について紹介する。
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講演
アメリカのスポーツやビジネスの信条だとされる“Winners never quit and quitters never win”という言葉にあるように、逆境の中でも諦めずに情熱をもって粘り強く目標を追求することが、日本だけでなく世界的にも、成功者の資質とされている。また、何かに没頭し成し遂げること自体が持続的な幸福感のために重要と考えられている。本講演では、何かを学ぶ過程で、没頭し、成し遂げる機能(一般的にはやり抜く力と言われるもの)の個人差を決定する要因は何か、well-beingにつながる学びとはどのようなものかについて紹介する。
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講演
授業において、学習者は教師の言葉をそのまま頭の中にインプットしているわけではなく、授業内容に関する既有知識を活性化し、直接言及されていない情報を推論で補い、教師が伝えようとしている授業内容の全体像を頭の中で作り上げている。本講演では、このような学習者の認知プロセスを踏まえたうえで、学習者の理解を支援するための方法について解説。具体的には、授業の構造化、先行オーガナイザーの利用、精緻化情報の提示、イメージ情報や現物の利用などについて紹介する。
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講演
大規模公開オンライン講座(MOOC※)の普及などにより、近年、誰もが世界最高レベルの授業をインターネット上で受講することが可能になった。MOOC上では、クリックデータを介して受講者の学習行動を記録しており、大規模な学習データを蓄積している。その活用による、受講率の高い教材のデザイン、ドロップアウトの要因、修了者の特性等を明らかにする研究が展開されている。本講演では、ラーニングアナリティクスにおける先行知見を基にしたコース改修とアウトカムの事例や関連する研究を紹介する。
※MOOC : Massive Open Online Courses -
講演
ライティング評価は、記述式答案や論述など、学習者が産出する文章の質を評価・診断し、学習者にフィードバックすることによって学習を助ける教育的営みである。私たちの研究グループでは、これを支援あるいは自動化する自然言語処理技術の研究をいくつかの方向に展開し、教育に関わる様々な専門家との連携を拡げてきた。本講演ではその一端を紹介する。
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パネルディスカッション
情報科学が切り拓く未来の教育
モデレータ堀田 龍也 教授東北大学大学院情報科学研究科では、人はどのように学ぶのかという基礎研究から、人の学びを支援するシステム開発研究、システムの利用によって学習行動が変化するかという学習分析研究など、学びに対する研究が多層的に進行しています。情報科学のこれらの知見をもとに、これからの時代の学びの支援の在り方や学校の新しい形などについて議論していきます。