東北大学 大学院情報科学研究科シンポジウム 情報科学から健康・医療・創薬を考える

情報科学で、よく生きる。

荒木 由布子 教授

講演のテーマ・内容に関するQ&A

各講演に関してお寄せいただいた質問に講演者が回答しております。
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  • Q

    ゲノムデータも塩基対の数からして、測定点の多い高次元データだと思うのですが、ゲノムデータに対して関数データ解析などの次元縮小を施すことはできますか?

    A

    確かに、ゲノムデータの中にも非常に高次元であるものもあり、その解析において次元縮小は不可欠な手法です。ゲノム解析における次元縮小手法は、統計的手法の中でも特にバイオインフォマティクスの分野で多用されています。関数データ解析に関しては、ゲノムデータへの直接的な応用や類似のアプローチはまだ発展途上の側面もありますが、既に実施されています。例えば、時系列データを扱う際に、各時点の特徴を関数として表現し、その変化をモデル化したり、ゲノムの3次元の物理的な構造を空間の関数として扱い、クラスタリングや次元縮小を行う研究も進められています。こうした手法により、ゲノムデータの複雑な構造を効果的に簡略化し、解析の精度と効率を向上させることが期待されています。

  • Q

    AI of AIというのは具体的にどんなものなのでしょうか? AIが自動で作られるのでしょうか?

    A

    AI of AI (表記はAoA)という言葉は私が提案した概念であり、これはAI技術が他のAIツールを活用し、自律的にデータの収集、解析、解釈を行い、最適な結論を研究者に提供する仕組みを指しています。
    具体的には、AIが研究者のリサーチクエスチョンに合わせて適切な研究デザインを構築し、そのために必要なデータを収集します。さらに、解析手法においても、伝統的な手法から最新の技術まで多様な選択肢の中から最適なものを自律的に選び、データの解析と結果の解釈までを一貫して行います。
    従来のAI技術とは異なり、AoAでは単に最新技術を用いるだけではなく、リサーチクエスチョンに最も適した統計的手法や機械学習アルゴリズムをAI自身が判断して適用します。さらに、異なる分野の研究成果をも統合することができ、他分野の知見を効果的に活用する点が大きな特徴です。これにより、研究者が他の領域に精通していなくても、その領域の知見を含めた高度な分析を行うことが可能になります。
    このシステムの最終目標は、研究プロセスの効率を飛躍的に向上させ、人々の生活の質、特にウェルビーイングの向上に貢献することです。AoAは、研究者にとって強力なツールとなり、より深い洞察と革新をもたらすことに期待しています。